「宮沢賢治の世界」を追い求める劇団ぱれっと稽古場レポート|10月3日(土)14時公演

2026年のX-jam the Partyに初登場するのは、学校公演などを中心に都内で活動している劇団ぱれっと。10月3日(土)14:00から、「宮沢賢治の世界」と題して「虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)」と「かしわばやしの夜」という二つの短編を上演します。
そのなかの「虔十公園林」は、音楽家シモシュがちょこっと参加する予定で、この稽古場にお邪魔しました。
9月の上旬に、都内で自分たちの公演「風野又三郎」を終えたばかりのぱれっと、翌週から早速X-jam the Partyの稽古に取り組んでいました。
稽古場に着いた瞬間、早速劇団員の歓迎を受けるシモシュ。

代表・佐瀬「シモシュさんにセリフを用意しています」
シモシュ「え??」
劇団員新井「粉茶ですけど、お淹れしましたのでどうぞ」
シモシュ「ありがと。でもこれ、めちゃくちゃ濃いんだけど」
(規定量の4倍の濃さで作っていた)

相変わらずにぎやかで笑いの絶えない劇団です。
心の糧になるものってお金とは結びつかない
今回稽古する「虔十公園林」は宮沢賢治の死後の翌年に発表された作品。
脚本と演出、出演も担当する代表の佐瀬佳明さんは言います。
佐瀬ここに出てくる、『少し足りない』と賢治自身が描写している虔十という人物は、賢治そのものなんじゃないかと僕たちは受け取っているんですよね。
賢治自身が、自分が残す作品が子どもたちや読者にとって糧になるものであってほしいと思っていたし、そういう価値があるものだと思うけれど、でも当時現実にどうだったかというと、『注文の多い料理店』を自費出版してるけど全く売れなかったんですよね。『春と修羅』も全然売れなくて、中原中也が買ったっていうのは有名な話だけど、これすごいんじゃないのって言ってたの中也くらいで。
東京からは全然相手にされなくて無視されているみたいなところもあって、でもそういう中で、自分がやってる意味というか、人に伝わっていつか広がってくれたらいいなっていう思いが、そのままこの話になっているのかなと思っています。
この物語は、村の子どもたちからバカにされ続けていた虔十が、役に立たない杉の木を植え続け、時代が移り変わって林となっている様子を描いています。そんな物語と賢治が描いた未来を、佐瀬さんは重ねて描きます。
そして、その視点は、現代にもつながっていきます。
佐瀬登場人物の虔十は、みんなにバカにされているけれども、世の中を見てる目、自然を見る目が実は他の人よりとっても豊かなんです。でも、それが周りの人には理解されないからバカにされちゃう。でもそういう人って世の中にいっぱいいるよね。
賢治がずっと考えていた『心の糧になるものってお金とは結びつかない』っていうところが、この作品にはよく出てるんですよね。賢治の時代も、「これって生産性ねえじゃん」っていう感覚って多分当時もあったからこれを書いてると思うんですよね。生産性ない、効率悪い、儲からないっていう感覚って、今と繋がってると思ってて。今の時代って、虔十みたいな生き方と対極ですよね。でもなんか、こういう心ってなんか失ってるよね、みたいなものに繋がっていくといいなあという思いでいるところです。
昭和初期の、効率化やお金になるものが価値があるという価値観の変換の時代に突入していき、戦争に入っていく時期と、今の時代を重ね合わせてみると、なぜ賢治の作品が今も読み継がれているのかがわかるような気がしました。
アンサンブルとは、相手に音を渡すことだよ
そして、そこからこの思いを実際の演劇に落とし込んでいくのが稽古。
真面目にストレートに演じるだけでなく、役者自らが楽器を演奏し、身体表現も組み合わせ、ケレン味たっぷりの生の舞台として仕上げていきます。
シモシュも音楽だけではなく、芝居の中身にも意見を出し合いながら、さまざまな演技プランを試します。
あれこれやったあとで元の表現に戻してみると、同じように演じているはずなのに、なぜか伝わり方が変わっていく場面も。
稽古場で一緒に深めて意見を伝え合い、お互いの演技に刺激されながら変化をしていく演劇の稽古の醍醐味です。




後半は、実際に音楽を合わせてみる稽古。
セリフと動きと音楽はそれぞれ別々の要素に思えるけれど、そこにも相互作用があって、独立して行うのではなく、音や芝居の間にもコミュニケーションが生まれると、一気に芝居のセリフが音楽に乗って伝わり方が変わってくる。
「アンサンブルは、相手に音を渡すことだよ。パスを投げるみたいに」と指揮をしながらシモシュが音楽指導をしていくと、演奏も芝居も両輪で変わっていくのがおもしろい。
こんな稽古を繰り返しながら、本番まで、あくなき追求は続きます。

劇団ぱれっとによるくわしい稽古場レポートはこちら

稽古の合間には、ぱれっと恒例、炊飯器を持ち込んでご飯を炊き、おかずを足して即席味噌汁を作り、「同じ釜の飯を食う」休憩タイム。楽しくて美味しくて、ヘルシー。稽古中はコンビニやスーパーの食事が続きがちなので、こういうのがとっても大事。これも芝居にきっと生きてくるはず。10/3の本番もそうしよう。
劇団ぱれっと「宮沢賢治の世界」を目撃しにきてね!
こんなふうに作り上げている「宮沢賢治の世界」ぜひ目撃しにきてくださいね。
入間市文化創造アトリエアミーゴのホールが、舞台設備も含めて虔十の林にさま変わりします。
学校でも公演している作品なので、子どもたちにもぜひ!ご覧いただきたいです。
X-jam the Party! 劇団ぱれっと「宮沢賢治の世界〜かしわばやしの夜・虔十公園林」
10月3日(土)14:00〜(開場は開演の15分前)
入間市文化創造アトリエアミーゴ ホール
大人3500円 高校生以下1500円
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